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執筆者の写真writer sannou.kaori

「酒蔵萬流」18号を振り返って

創刊号から執筆させていただいている「酒蔵萬流」18号が発行された。

今回取材させていただいたのは、下の通り。※敬称略 <酒蔵紀行> ・大沼酒造店(乾坤一) ・櫻正宗(櫻正宗) ・小堀酒造店(萬歳楽) ・熊澤酒造(天青) <酒場めぐり> ・つるぎ福喜寿司(小堀酒造店様ご紹介) ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

ライター市田さん担当の、石鎚酒造、山本合名会社、山村酒造の酒蔵紀行も掲載。 さらに今回は、本誌創刊以来初のアメリカ遠征があり、市田さんが渡米して書かれた特集記事が目玉となっている。 内容は、アメリカ、カナダの醸造家へ向けてのセミナーレポート。 海外ではすでに日本酒を「飲む」「売る」から「造る」へと発展しているのだ。 読んでいてワクワクした。 ●取材後に大沼酒造店さんの「乾坤一」をよく飲むようになった。 いろいろ美味しいお酒はあるけれど、晩酌酒にしたい酒ベスト1は「乾坤一 特別純米辛口」だ。

ササニシキで醸したこのお酒は、華やかさはないのだが、飲み飽きしない。 飲めば飲むほど止めらなくなるというか、するすると喉を通り、いつまでも飲み続けてしまうのだ。(一升瓶がすぐ空いた) 東日本大震災では大きな被害を受けたけれど、建物を修復し、新たに冷房設備を導入して、蔵は生まれ変わった。 半壊した建物を建て直したほうが時間も費用もかからなかったというが、あえて昔の建物を残したと聞き、300年の歴史というのは、こんな一般サラリーマン家庭にはわからないような重みがあるのだと実感した。 震災以降、その苦労は計り知れないが、以前よりもお酒が美味しくなっているのがすごい。これからも1飲み手として応援したい。 ●櫻正宗さんはやっぱりすごい蔵だった。 「正宗」という銘柄の元祖であったり、協会1号酵母の出所であったり、日本酒史上を語る時にその名を避けることはできないが、そういった歴史的な素晴らしさよりも、現在の酒造りの緻密さのようなところに感動してしまった。 一部とはいえ種麹まで自社で造っている蔵なんて聞いたことがない。本当に高い技術を持った蔵だということがよくわかった。 取材の最後に試飲させてもらったのが、赤ワインやウイスキーのような酒。黙って飲んだら、原料は麦やブドウだと思ってしまうが、全部米でできていると聞いてびっくりした。 「私たちはこういうものも造れる技術を持っている。その上で、櫻正宗としてどんな酒を造っていくかを考えている」とおっしゃっていた。 ●小堀酒造店さんは、この数年、吉田社長と家杜氏が酒造りを1から見直して酒質向上に力を入れている。 「森の吟醸蔵」と名付けられた蔵で醸しているのだが、その名にふさわしい立地にある、まるで別荘のようなきれいな蔵だった。 中はワンフロアで使いやすい「コの字型」のレイアウト。吉田社長と家杜氏のこだわりやアイデアがたくさん詰まっている。 家杜氏は早朝4時には米を蒸し、朝食までには仕込みを終えるという。早朝の空気がきれいで冷え込んでいる時に造りたいのだ、と話してくれた。 私はその話がとても好きだった。 家杜氏は決して古い考え方に縛られている人ではなく、むしろ新しい設備にも柔軟に対応する方なのだけど、「早朝に造る」というこだわりを聞くと、何十年も自然と一体になって、自然の恩恵を受けて、酒造りをしてきた方なんだなぁとしみじみ思ったのだ。 ●熊澤酒造さんは、敷地に入った時にびっくりした。 おしゃれなレストランやカフェ、雑貨屋さんがあって、どう見ても酒蔵とは思えず・・・。 社長は「自分は酒造りの才能はなかったけど、空間づくりの才能はあった」とおっしゃっていた。その言葉通り、どこもとにかく素敵な空間だった。 「家族連れが来ていて、子供が『僕はここに来たら幸せになる。また連れてきてね』と言っているのを見た時は嬉しかった」とおっしゃっていたが、子供でもそういう気持ちになるような空間なのだ。(近くにあったら絶対通う!) また、もちろん「天青」も美味しい。五十嵐杜氏がしっかりと造られている。 取材後にレストランでビールを飲みながらお話させてもらったが、とても優しいお人柄の杜氏さんだった。 私はまだまだ勉強中。酒造りは本当に奥が深い。 蔵元さんや杜氏さんの想いを上手く表現できているとは思えないが、少しでも、断片的にでも、読んだ人へ伝わっていればいいなと思う。 ※「酒蔵萬流」は今号・バックナンバーともに、下記リンクから購入が能です。 http://sakagurabanryu.com/

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