大阪と京都にある浅野日本酒店さんのお取引先様向け通信に「短いコラムを書いてくれませんか?」と依頼があり、2015年~2017年まで20回の連載をさせていただきました。
私のホームページへの転記の許可を得ていますので、部分的に加筆・修正したうえで、こちらにも掲載したいと思います。
コラムタイトルは「ほろほろ酔うて 木の葉ふる」です。
vol.1 種田山頭火とお酒
今回、こちら(浅野日本酒店様)へ寄稿させていただく時にタイトルを何にしようかと悩んだ末、自分のブログと同じタイトルをつけさせてもらった。これは出家し行乞をしながら旅をした俳人、種田山頭火の俳句で、私の大好きな句だ。
「歩きつづける彼岸花咲きつづける」
「分け入っても分け入っても青い山」
など、季語も五・七・五も完全無視した自由な俳句。中学の国語の教科書にもよく載っているので、覚えている方も多いのではないだろうか?
山頭火は一時期、酒造業をしていたこともあり、酒好きでも有名だった。「句は心の酒だ」と言うほどで、とにかく酒なしではいられず、行乞の途中でも居酒屋をみつけると、施されたお金を使って酒を飲んだといわれている。
「ほろほろ酔うて 木の葉ふる」は山頭火自身も気に入っていた句らしい。「ほろほろ」は、2、3合飲んだときの気持ちよさだとか。旅の途中、酔っていい気分になって道に寝転ぶ山頭火。その上をほろほろと木の葉も落ちてくる……。そんな様子が目に浮かぶ。
また、山頭火の日記に、こんな文章がある。
「私は文字通りの無能無才で、人並以上に出来ることが二つ、たった二つある。一つは句を作ること、他の一つは酒を飲むことである。あさましい存在ではある!」
酔いつぶれて道端で寝てしまった翌日に書いた日記だ。
これを読んだ時、ますます山頭火が好きになった。私も人並み以上にできることはたった二つ。書くことと、酒を飲むこと。なんというか、親近感?(笑)
飲みすぎてはいけないとわかりつつ、また今日も酔っ払う。
そんな山頭火の姿は情けないけど、愛おしい。
だからだろうか、あの自由な俳句は人の心をとらえ、くすっと笑えたり、癒されたり、時には深い意味を考えさせられたりするのだ。
そんな山頭火のように、私もおいしいお酒を飲みながら、自由に書いていきたい。
(2015年10月)

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