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酒米のストーリー   ~連載日本酒コラムより

  • 執筆者の写真: writer sannou.kaori
    writer sannou.kaori
  • 2020年9月26日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年12月13日

去る2月27日は酒米「山田錦」の誕生日だった。

ちょうど誕生から80周年ということで、兵庫県酒米振興会から記念パンフレットが発行され、全国の酒蔵へと届けられた。私も1冊いただいて、掲載されているいろんな方(蔵元、酒販店、中田英寿氏など)の山田錦に対する想いを読み、改めて「山田錦は酒米の王様だな」と感じた。


取材先でも原料米の話を聞くと、山田錦を使用している蔵は一様に「扱いやすい」という意味のことを言う。また、兵庫県の酒米試験地を訪ねたところ、山田錦の純粋な系統を守り続けるという役目のプレッシャーを背負いつつ、より良い栽培法を地道に研究されていた。

このような研究者や農家の努力なくして美味しいお酒は生まれない。もちろんそれは他の酒米にも言えることだ。


また、最近はワインで言うところの「テロワール」を意識して、米の“品種”というよりは“土壌”にこだわり、「地元の米」をあえて使用する蔵も増えている。一方で、「同じ酒を造るなら最高と言われる酒米で造りたい」と兵庫県特A地区の山田錦を調達する蔵もあるわけで…。どちらが正しいということではなく、そういういろんな考え方があるから日本酒は面白いのだと思う。


このような原料米へのこだわり一つ知るだけでも、味わい方は変わってくる。だから、米や土地、想いなど、日本酒はもっとストーリーを語るべきだ。

最近、地酒が注目されているのは、酒質向上だけではなく、ストーリーや蔵元の顔が見えてきたことも理由の一つだと思うから。

なぜ山田錦なのか、なぜ地元の米なのか。

そんな米へのこだわりから知って飲むお酒が、飲み手の心に残らないはずがない。


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※このコラムは、浅野日本酒店様からのご依頼で連載していたものに許可をいただき、加筆・修正して掲載しています。(連載:2016年3月)

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©ライター山王かおり

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